自宅より網状星雲の天体写真を撮影しました。今回はNew FD 400mm 2.8Lを使いました。

 網状星雲は、白鳥座のε星近くにある大きな散光星雲であり、超新星爆発によるガスが発光しています。双眼鏡ではその存在は全く分かりませんでしたが、写真にとるとその大きさがよくわかります。網状星雲と呼ばれていますが、どこが網なのかよくわからないですが、赤色と青緑色のガスの絡みつく様子がとても美しいですね。
 無改造のEOS 6Dで撮影したので、Hαの赤いガスはほとんど写らないかと予想していましたが、意外に良く写りました。IR改造では赤い星雲がはっきり写りますが、網状星雲のような赤色/青緑色のスペクトルを持つ星雲は無改造カメラでもほど良いカラーバランスで撮影できそうです。

■網状星雲(NGC6992-5、NGC6960)
コンポジット3-3
撮影データ 2016/5/13 01:07~ 露出1分x140枚
EOS 6D(無改造) ISO3200 NewFD400mm F2.8L(F4絞り) +LPS-P2
SXD赤道儀(PEC適用)のノータッチガイド 
DSSでダーク減算およびフラット補正、RawTherapeeでフリンジ除去、DPPでトーンカーブ調整、トリミングなし

 天体写真は長時間露出でないと写らないだろと考えていましたが、WEBでは多く方々が短時間露光にもかかわらず美しい写真をとられていたので私もチャレンジしてみました。SXD赤道儀をNexguideでPECトレーニングした後、60秒露出を繰り返して140枚の画像をコンポジットしてみました。
 以下にコンポジット前後での比較画像を示します。多数枚の画像をコンポジットすることでノイズ低減されて美しい画像になりますね。またデジカメの高感度性能の高さに感心しました、1分露光でここまで網状星雲が写るとは本当にすごいですね!
比較
 1枚物をDPPでトーンカーブを調整して星雲を浮かび上がらせましたが、さすが純正のソフトだけあって色の出方がとても良いと感じました。DSSでコンポジットしたTIFFは色がなかなか出せずに苦労しています。DPPでRAW現像後にコンポジットしたいですが、ダーク減算とフラット補正が出来なくなるのが大きなネックです。

 夏の天の川付近なので、明るい星が多くNewFD400mm F2.8ではF4まで絞っても強調処理すると赤色やパープルフリンジが元画像では結構出てしまいました。フリンジ除去にRAW Therapeeというフリーの画像処理ソフトを試してみましたがとてもいいですね。フリンジのスペクトルを指定することが出来るので赤や紫のフリンジを消すことが出来ました。等倍で見ると多少違和感あり賛否両論あると思いますが、パッと見たときのすっきりカンには代えがたいですね。

■追尾状況
 追尾状況をGIFアニメーションにしました、上が北側になります。
PEC機能によってピリオディックモーションによる東西方向の星の流れはかなり抑えられていますが、モータードライブ起因の星が西に流れてしまう事象は防げませんでした。小さな累積誤差を修正するには1周期のPM学習だけでは不十分なようです。途中で1回星が北側にはねますが、私がカメラに触ったせいです。
 追尾(PEC有り)
  撮影データ  EOS 6D 1分露光x164枚 ISO3200 NewFD400mm 2.8L (F4絞りを使用) 
  北が上      撮影開始2016/5/13/01:07 撮影終了2016/5/13/04:07 テレスコープウェスト