デサルフェーターの実験をしていた時、コイルにどれだけ電流を流していいのかわからず手探りで条件出しをしていました。素性の確かなコイルを使えばよいのですが、インダクタンスしか表記しかないものもあり困ってしまいます。

空芯のコイルは電流に比例して磁場が強くなりますが、フェライトコアを使ったインダクタはコアに生じる磁束に上限があり、上限を超えるとインダクタンスが急激に減少し磁気飽和してしまいます。電流と磁場の変化を測定できれば磁気飽和の条件が出せそうです。磁場を検出する方法としてホール素子などがありますが、身近に使われている例としてスマートホンの電子コンパスなどがあります。

アプリストアで見ていると磁場測定アプリなどあるので、コイルの磁場の測定してみました。
磁石を使ってスマートホンの磁気センサの位置を探してみると、私が使っているAQUOS sense4は左上にセンサがあるようです。ダイナミックレンジをみるためにダイソーのネオジウム磁石を使ってみると0~3000μTに感度があるようでした。
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センサの近くにソレノイドコイル(680uH)を配置し、電流を流して生じる磁場の変化をプロットしました。電流の増加に伴い磁場の増加がしていきますが、1.5A~2Aの間で磁場の増加率が下がってきておりインダクタンスが低下していることが見て取れます。このコイルは1.5A以下で使ったほうがよさそうです。
ソレノイド
トロイダルコアを使ったコイル(160uH)も同じように測定してみました。トロイダルコアはソレノイドコイルに比べて磁路が閉じているので漏れ磁束が少なくなります。コイルの方向でどう影響するのか調べてみました。
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電流を流しても磁場の変化が少なく、ソレノイドに比べると1/10以下でした。漏れ磁束が非常に小さなものであることが分かりました。方向1では10A程度から磁場の増加が鈍くなっているようにも見えます。方向2では4A程度から磁場が減っているように見え一貫した傾向が得られませんでした。
トロイダル
漏れ磁束の大きなソレノイド型のコイルであれば、磁場の強度変化から磁気飽和電流も推測が付きます。漏れ磁束の少ないトロイダルコイルはこの方法ではうまくいかず他の方法を考えてみる必要がありそうです。

追記